Vol.12 2泊3日のオフグリッド体験。太陽光の電力だけで過ごすとどうなる? 【後編】

Text & Photo: Lisa Obinata Photo: Takanori Ota

Vol.12 2泊3日のオフグリッド体験。太陽光の電力だけで過ごすとどうなる?【前編】からのつづきです。

ところが! 21時頃、トイレを利用すると、すべての照明が一瞬暗くなり、いつもと違った反応。もしかしたらトイレが思った以上の電力を消費しているのか??なんて話していた矢先、次のトイレ利用で、パチ!! 真っ暗になりました。オーバーロードが起きたのです。

用意しておいたソーラーライトとヘッドランプをつけて、すぐさま復旧作業。事前レクチャーを受けておいて良かった! 多分使うことはないでしょう、と言われていた説明書も読み返し、すぐに復旧完了。蓄電池がまだ残っているので、一時的にブレーカーが飛んだような状態で、スイッチひとつで戻せるということがわかりました。

こういうこともあるんだなぁと学び、その後は手元には常にライトを持ち、いざという時に備え、夜を過ごしました。

その後はオーバーロードが起きることもなく、22時半、就寝時に確認した蓄電池残量は、48.5%。明朝、太陽が昇れば発電が始まるだろうと、なんの不安もなく消灯、おやすみなさい。

翌朝、真っ暗にして寝ていただけなのに、朝7時の時点で蓄電池の残量は8.2%! よく調べたら夜明け前(発電が始まる前)は残量3.7%まで減っていたようです。予想以上にギリギリでした。夜中も待機電力や、トイレの自動お手入れ、エコキュートの自動機能(おそらく夜、入浴した際に使ったお湯の補充)が作動し、知らぬ間に電力消費しているのだなぁと知りました。

2日目も朝からよく晴れて、10時にはすでに60%も蓄電、お昼前にはフル充電となりました。太陽光のパワーと、システムのクオリティの高さを改めて実感です。

そして発電が始まっても、トイレ使用時に毎回ではないけれど、オーバーロードが起きます。どうやら最新のトイレだけに、蓋の自動開閉や便座の急速温め、脱臭、自動洗浄機能など、使用時に強い電力を消費するということがわかりました。便器洗浄もリモコンのみのタンクレスタイプなので、あれ、停電時は流せない??とトイレの説明書を読んでみると、停電時はトイレの脇のカバーを外し、手動洗浄レバーを使えるということ、乾電池を入れるところがあるということを初めて知りました。トイレの説明書なんて開封すらしていない状態だったので、非常時の対応を習得できて良かったです。

その後、どんな家電を使うとオーバーロードが起きるのかテスト。日中で、太陽光の発電+蓄電池残量もある状態です。ドライヤーは小さなタイプだったこともあり問題なく使えましたが、洗濯機はスイッチを入れた瞬間アウト。どうやら直流アースのある電化製品は、瞬発的に大電力を使うので過負荷となるようです。

2日目は終日晴天だったこともあり、トイレ利用に気を配る以外は何も問題もなく、パソコンやプリンタを使った仕事も通常通りにできました。そしてできるだけ、畑仕事など外での時間を優先し、電気の使用は最低限に。

この日も蓄電池はフル充電で夜を迎えました。初日の経験も生かし、トイレのオート機能はすべてオフ! それでもオーバーロードが起きることもありましたが復旧作業にも慣れ、何事もなく3日目を迎えました。

3日目の朝、模擬停電を解除。これでトイレも安心して使えます(笑)。オフグリッド体験を通して、いろいろな発見がありました。

ひとつは、全く何の不自由もなく安定した電力が全家庭に普及しているという日本の恵まれた環境。15年くらい前に旅したネパールのことを思い出しました。当時、首都のカトマンズでは電力供給が不安定で、計画停電が1日に何度も起きました。宿でシャワーを浴びていたら突然真っ暗になってしまったり、飲食店でも停電は日常茶飯事。街の人たちはみんな慣れていて、あちこちにキャンドルが置かれていたり、自家発電していたりと工夫していました。

日本でも東日本大震災直後に電力需給が逼迫し、家庭も街も企業も一斉に節電をしていた光景を思い出します。

普段、当たり前に電気が使えていたら忘れてしまうけれども、オフグリッド体験を通して電気の有り難みと、日常でどのくらいの電気を使っているのか考察する良い機会となりました。特にトイレは初期設定で「節電モード」にはしていたけれど、よく見たら「光の演出」や「きれいサイン」など過剰な電力を使っていたことがわかり、オフグリッド体験後は最低限の設定に切り替えました。

今回はたまたま2日間、天候にも恵まれ、過ごしやすい季節だったのでほぼ何も問題なく過ごせたけれども、これが真冬だったら? 悪天候で日中の発電ゼロだったら? 停電が1週間続いたら? 太陽光モジュールの増設や、蓄電池の容量をアップさせることで、おそらく停電時もさらに不安なく過ごせることでしょう。

オフグリッド体験を通して、停電しても数日は普通に過ごせる太陽光生活の強みを感じると同時に、電気がない生活を楽しめる気持ちの余裕を持ったり、できるだけ電気を使わない生活の工夫をより強化していきたいと思ったのでした。

  • 尾日向梨沙

    1980年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、13年間、スキー専門誌『Ski』『POWDER SKI』(実業之日本社)などの編集を担当。2013年より同雑誌の編集長を務める。2015年、フリーランスとなりスノーカルチャー誌『Stuben Magazine』を写真家・渡辺洋一と共に創刊。2018年より藤沢市鵠沼の自宅を舞台に歴史的建造物と周辺の緑の保存活動を開始。2020年に、湘南から長野県飯山市に移住し、パートナーのケンさんと共にハーフビルドでマイホームを建築。雪国でスキーを取り込んだライフスタイルを実践しつつ、同時に畑での野菜作りを行うなど、自然に寄り添った暮らしを目指す。2020年秋からは、太陽光発電&蓄電システムを取り入れ、できる限り電気を自給自足するこころみもスタート。長年スノースポーツに携わる中で実感してきた地球温暖化について向き合い、ケンさんと愛猫の空(ソーラー) くんと力を合わせ、自分なりのソリューションを試行錯誤中。

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