誰でもわかる「蓄電池のはなし」

家で作った電気を家庭で使う、そんな電気の「家産家消」を目指すなか、重要な鍵となるのが「蓄電池」の存在です。
ご存知のとおり、太陽光発電システム自体には電気を蓄えておく機能はありません。それを補ってくれるのが、蓄電池。昼間、太陽で作った電気をためて、夜でも、あるいは停電時でも、いつでも使えるようにしてくれる心強い味方。今回はその蓄電池について、詳しくご紹介しましょう。

蓄電池の仕組み

蓄電池とは「充放電」ができる二次電池のこと。身近なモノとしては、スマートフォンやノートパソコン、電気自動車のバッテリーなど、私たちの生活のなかで広く普及しています。

充放電は、金属と電解液の化学反応によって生じる現象です。例えば、モバイル機器などで一般的に使われている「リチウムイオン電池」の場合は、

充電:電流が流れると、プラス極側にあるリチウムイオンが、電解液を通じてマイナス極側に移動。プラス極とマイナス極で電位差が生じることで、充電される。
放電:マイナス極側に蓄えられていたリチウムイオンが、プラス極側に移動することで電流が発生する。

という化学反応が起きており、リチウムイオンの移動が双方向で繰り返されることで、蓄電池に電気をためておいたり、そこから電気を使ったりができるようになります。

電気自動車のバッテリーにもリチウムイオン電池が活用されています(Photo: Takanori Ota)

太陽光発電+蓄電池が「家産家消」の強い味方に

では、太陽光発電と蓄電池を組み合わせると、どんな利点があるのでしょうか。

昼間に作った電気を無駄なくためておける
日中、太陽光発電システムがグングン発電した電気は、宅内で使う以外は余剰分となります。電力会社との契約により、この分は売電することができますが、蓄電池があれば自宅内にためておくことが可能。電気の家産家消のためには、強力なサポート機能となります。

夜も“自家製”の電気が使える
蓄電池があれば、昼間に自家発電してためておいた電気を夜も使えます。蓄電池の容量、電気の使用状況や季節にもよりますが、天気に恵まれれば、一日中、電力会社から電気を買わず、太陽光発電で作った電気だけでまかなうこともできます。

万が一の停電時にも安心
自然災害などで停電になってしまったときも、太陽光さえあれば「太陽光発電システム+蓄電池」が活躍してくれます。昼間は太陽光発電システムからの電気、そして夜は蓄電池からの電気と、それぞれ活用することで、照明や携帯電話などが普段通りに利用でき、必要なライフラインを確保することができます。

生活スタイルに合わせて電気のやりくりができる
蓄電池は、ライフスタイルに合わせた使い分けも可能です。昼間に発電した余剰電力を蓄電池にためる、という基本的な方法だけでなく、例えば昼間の余剰分はできるだけ売電し、割安な深夜電力で蓄電池に充電、必要に応じてそこから電気を使う、という経済的な活用術も注目されています。

プラスα! 雪国飯山ソーラー発電所でのひと工夫
「雪国飯山ソーラー発電所」では、太陽電池モジュールを東南面にも取り付けているため、晴れていれば日の出とともに発電を開始します。早朝すぐに太陽光からの電力を使うことができ、さらに条件が揃えば午前中には蓄電池への充電も完了します。もし、その後に天気が急変しても不足分は蓄電池から補えるので、一日を通じて安定した電力供給が可能に。万が一の停電時にも、この「東南面の太陽電池モジュール設置+蓄電池」という組み合わせが、より安心できる電力供給を実現してくれそうです。

東南面と南西面に太陽電池モジュールを軒下壁面設置した「雪国飯山ソーラー発電所」(Photo: Takanori Ota)

蓄電池があると、どれくらい電気が使える?

ところで、実際に蓄電池だけを使って生活したとすると、電気製品はどの程度使うことができるのでしょうか。

例えば、デルタ電子製の蓄電システム「セイバーH」(定格出力5.9kW/定格蓄電池容量5.6kWh)を使った場合では、1回の充電で30WのLED照明なら130時間、50型の液晶テレビなら24時間、300Lの冷蔵庫なら48時間など、が目安となっています。たとえ夜でも、電気製品をうまくやりくりすれば、蓄電池からの電気だけで過ごすことができそうです。

もちろん、蓄電池の容量を増やすことも可能で、また今後は大容量バッテリーを備えた電気自動車と蓄電池を組み合わせる仕組みも増えていきそうです。自宅を「蓄電施設」化し、完全に電気の自給自足を実現することも夢ではありません。

ハイブリッド蓄電システムって?

蓄電池のなかでも、近年注目されているのが、「ハイブリッド蓄電システム」です。ハイブリッド型では、パワーコンディショナが1台ですみ、また直流と交流の電力変換ロスを抑えることが可能。つまり効率の良い充放電ができるわけです。蓄電池と太陽光発電システムを組み合わせることで、より安定した自家発電の電力使用につながります。

デルタ電子のハイブリッド蓄電システム「セイバーH」の場合は、1台で5役をこなす働き者。システムの設定により、昼は、太陽光で発電した電力を①[使う]、余った電力は ②[蓄電する]、③[売電する]ことが可能。夜は、④[蓄電池から電力供給]、そして安価な ⑤[深夜電力を充電]して使うこともできます。

もちろん停電時も安心。セイバーHは、停電を検知すると、自動でリチウム蓄電池から電力供給を開始。特別な操作をすることなく、照明やコンセントの使用が普段通りに利用することができます。

詳しくはこちらから。
➢ 1台5役のハイブリッド蓄電システム「セイバーH」 (デルタ電子製)

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