Photo: Takanori Ota
太陽光生活研究所では、これまで困難とされてきた雪国での太陽光発電を実現するため、様々なアイデアを検討・実施してきました。今回は、「太陽電池モジュールを、屋根にも壁面にも設置できない」「モジュールをさらに増やしたい」という方に向けて、ソーラーシェアリング・タイプによるシステム導入の提案です。
ソーラーシェアリングとは、農地の上に太陽光発電システムを設置して、農業を行いながら発電も行う、つまり、農作物と太陽電池モジュールとが“太陽光を分け合って使う”という近年注目のスタイルです。
本来は、農地の活用を目的とした取り組みですが、これを、地目が宅地となっている自分の土地内でも活用しては、というのが、今回の提案です。野菜や花などを育てている家庭菜園、あるいは芝生や砂利があるだけの庭でもOK。そこに支柱を建てて、モジュールを設置する、といたってシンプル。宅地内に設置する場合は、農地利用にかかわる面倒な申請や手続きも不要なので、比較的手軽に導入ができます。
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豪雪地帯でソーラーシェアリングを導入するには、いくつかのポイントがあります。日当たりがよく、下記のような条件を満たせるスペースがあれば、豪雪地帯でもソーラーシェアリングは可能になります。
(1)モジュールは、地面からは3m以上の高さに設置
これはもちろん、大雪が降ってもモジュールが埋もれないために必要です。高さを実現するための、強度の高い専用架台が必要となります。
(2)モジュールの傾斜角は60度以上に
一般的なソーラーシェアリングのモジュールは10~20度の傾斜を付けて設置されます。しかし、豪雪地帯でこの斜度では、冬には降雪により表面が覆われてしまい、最悪壊れてしまうことも。また、緩斜度のモジュールの場合、積もった雪が一気に落下して下部に雪の山ができやすくなります。すると、それがやがてモジュール上の雪と連結し膨大な荷重がかかり、これもまたモジュールや架台の破損の原因となります。解決策は、モジュールを60度以上の傾斜角で設置すること。この角度なら、降った雪は自然に滑雪し、またモジュール周辺にまんべんなく落ちていくことで、軒下に落雪の山もできづらくなります。
(3)モジュールの列は間隔を開けて配置
何列かでモジュールを配置する場合は、角度を付けたモジュールどうしが影を作ってしまう事がないよう、ある程度の間隔をあけて設置することも大切です。
次回は、このシステムの設置事例をご紹介します。
太陽光生活研究所 所長 高嶋健
太陽光発電システムプランナー。 2003年よりシャープ米国(Sharp Electronics Corporation)で太陽光発電事業に従事。太陽光発電システムの海外事業展開に携わる。2012 年よりカナディアン・ソーラー・ジャパン、2017年からはサンテック・パワージャパンでマーケティング部長、SCM調達本部長を兼務、2018年よりデルタ電子株式会社でマーケティング企画部長を務める。太陽光生活研究所 所長として、豪雪地帯に対応する太陽光システムの様々なアイデアを提案。雪国での太陽光活用の促進に日々邁進中!Vol.6 雪国ソーラーシェアリング------設置実例1 木島平村「パン工房○(まる)」のケース
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Vol.2 東南、南西壁面の「太陽光ダブル発電システム」は太陽光の自家消費時代を開く!