1年で一番昼間が長い日、「夏至」

もうすぐ夏至。1年でも一番、太陽の光を長く楽しめる日です。今回はこの夏至について、いくつかの面からご紹介します。なぜ日照時間が長くなるのか、人々はどのようにこの日を捉えてきたのか、そして南半球では・・・。太陽と地球の関係が作り出す神秘的な1日を、少しだけ掘り下げてみました。

地軸の傾きによって、季節が生まれ夏至が訪れる

2022年の夏至は、6月21日。日本をはじめ、北半球では1年のうちで最も昼間の時間が長くなる日です。国立天文台のデータで確認すると、東京の場合、夏至の日の出は4:25、日の入りは19:00で、太陽が出ている時間は14時間35分もあり、また太陽の南中高度もおよそ78度と1年で一番高くなります。一方、冬至では、日が出ている時間は9時間45分、太陽の南中高度はおよそ31度。その違いは明らかです。

太陽光発電にとっても、夏至の時期は長い日照時間により発電量アップが期待できるありがたい季節。このため、たいていの太陽光発電システムは、この日の前後に最も効率よく発電ができるようモジュールの角度などを調整する「夏至基準」で設置されています。(ちなみに雪国飯山ソーラー発電所では、冬に電気使用量が増えることを想定し「冬至基準」で設計されています。詳しくはコチラ

それにしても、なぜ1年でこのように昼間の時間や太陽の角度が変化し、季節が生まれるのでしょうか。おさらいしてみましょう。

太陽と、夏至・冬至の地球

それは、地球の北極と南極を結ぶ地軸が23.4度傾いていることが影響しています。地球はこの傾いた状態のまま自転しつつ、太陽の周りを1年かけて公転しています。このため、夏は、北極側が太陽に向かって傾いた状態となり、北半球により長く日が当たることになるのです。そしてそのピークとなるのが夏至。この時期、北に行くほど、昼間の時間は長くなります。カナダやアラスカなど北の町では、昼が20時間近く続く場所も。長時間の日照により、作物などが一気に育ち、数百kgもの巨大なカボチャなどジャイアント野菜ができることもあります。また、北極を中心に北緯66度33分以北の北極圏では、1日中太陽が沈むことのない、「白夜」が続きます。

夏の長い日射の影響で巨大に育ったカボチャ(Photo: Moskwa / Shutterstock)

世界各地の人々が太陽の輝きを祝う、夏至祭り

日本や中国では、夏至は太陰太陽暦(旧暦)の季節を表す「二十四節気」のひとつとして定着しています。二十四節気とは、太陽の動きにより1年を24分割した暦で、古くから、季節や天候を判断するための目安となってきました。一番日が長くなる夏至は、読んで字のごとく、「夏の頂点に達する」日を意味します。

また世界各地でも、夏至は1年の中でもより重要な節目の日とされており、多くの民族がお祭りやセレモニーを行ってきました。

例えば、世界遺産にも登録されているイギリスの「ストーンヘンジ」。巨石がサークル状に並ぶこの遺跡は、4000~5000年も前に作られたと言われていますが、その目的などは未だ解明されておらず、世界の7不思議のひとつにも挙げられています。ここでは、夏至の日に朝日が昇ると、東側に離れて置かれた「ヒールストーン」の影が中央の祭壇に正確に伸びるという神秘的な現象が起こります。科学的とも言えるその構造は、長年多くの考古学者達の想像力を刺激してきました。現在も、夏至にはここに数万人が集まり、神々しい日の出を崇めつつ、古代ケルト人の宗教であるドイルド教の儀式を模したお祭りを行います。

スウェーデンでは、「メイポール」と呼ばれる柱を立てて草花を飾り、その周りで宴を繰り広げる夏至祭り「ミッドサマー」が行われます。親族や友人が集まり、1年でも最も重要なイベントのひとつなのだとか。

他にもヨーロッパ各地で夏至のお祭りが行われますが、多くの地域で共通しているのは、この日には、恋人や将来の伴侶に出会える不思議なパワーがあると考えられている点です。大地を照らし作物を育てる太陽を、人々は生命の源と捉え、男女が出会い子孫が繁栄する、そんな人間本来の営みを司るものの象徴として崇めてきたのかもしれません。

また、北米先住民の間では、夏至前後に大自然に祈りを捧げるための「サンダンスの儀式」が行われてきました。内容は部族によっても異なりますが、多くの場合、4日間飲まず食わずで、太陽を見つめながら踊ったり、苦行を行ったりするもの。太陽に生かされていることに感謝しながら、その光を崇拝し、そのためには犠牲もいとわない、そんな彼らの宗教観が感じられるセレモニーと言えます。

古代の天文施設や宗教的神殿とも推測されるストーンヘンジ(Photo: Andrew Rolad / Shutterstock)

南半球では、この日は冬至に

さて、今回は北半球の夏至についてご紹介してきましたが、ご存知の通り、南半球は冬まっただ中となります。夏至の日は、現地では1日の日照時間が最も短い冬至となり、南極を中心に南極圏では夜が明けることのない「極夜」となります。

南半球では、季節が反転すること以外にも、太陽の位置自体が逆になります。東から日が昇り、西に沈むことは変わりませんが、太陽は北側の空に軌道を描きます。つまり、太陽が最も高い位置になる場所は南中ではなく、北中になるというわけです。このため、ニュージーランドやオーストラリアなど南半球の国々では、日当たりがいいのは北側。住宅についても、「北向きの明るい家」と言われるのが一般的です。また北風は温かく、南風は冷たいのも常識。ハワイやバリ島など、私たちが温暖なリゾートをイメージして使う「南国」という言葉も、あえて日本語で表現するなら、こちらでは「北国」となるわけです。

要するに、北半球と南半球では太陽の輝く方角が反対になるため、季節も、北と南の概念も、真逆になるということです。理屈では理解できても、なんとなく不思議な感覚。もしかすると、文学や音楽などの表現にも、その影響が出ているかもしれませんね。

このように、太陽の位置によって季節が生まれ、また日の当たり方によって生活も文化も大きく影響を受けているのが地球です。1年で最も日が長くなる夏至の1日、改めて日射しをじっくりと感じ、太陽の力の大きさに思いを馳せながら過ごしてみるのも面白いのではないでしょうか。

関連記事

当サイトは、デルタ電子株式会社のサポートの元、
制作・運営しております。

デルタ電子株式会社ホームページ