効率よく発電するためには、太陽電池モジュールの性能や、設置する向き、角度だけでなく、システム全体を支える「架台」も重要な役割を果たします。今回は、その種類や特長についてまとめました。
架台とは、太陽電池モジュール自体を支える金属製のフレームやパーツなどの総称で、読み方としては「かだい」「がだい」、どちらでも大丈夫です。普段はモジュールの下に隠れていて目に触れることはほとんどありませんが、実は発電システムにとって、なくてはならない存在です。というのも、架台には、モジュールを固定し風圧や積雪などにも耐えて、20~30年間にわたり支えるという、まさに縁の下の力持ち的役割があるためです。
一口に架台といっても、住宅用から大型発電施設用など、システムに応じて様々なタイプがあります。例えば一般住宅の屋根上に設置する場合でも、切り妻や寄棟、片側一面だけに傾斜をつけた片流れなど、屋根自体の形も角度も様々で、しかも和瓦やスレート瓦など素材も各種あります。また、海に近い地域や積雪の多い場所など、周囲の自然環境も多種多様です。
太陽光発電システムの導入にあたっては、設計段階からこうした環境条件を考慮して、最適な架台を選ぶ必要があります。屋根上や地面からの高さ、設置角度に加え、モジュールと風圧や積雪を合わせた最大荷重での強度設計も求められます。こうして設置された架台があってはじめて、発電システムの長期間にわたる信頼性と、より効果的なパフォーマンスを発揮させることができるのです。
太陽光発電システムの架台は、JIS(日本産業規格)に制定された鋼材やアルミニウム合金材等を用いるのが一般的です。まずは素材別の特長を簡単にみていきたいと思います。
①アルミニウム
→軽量で施工がしやすい。酸化皮膜処理により錆びにくい
→強度はやや弱いが、形状を工夫することにより強化が可能
②スチール/鋼板
→強度が強く、しかも安価
→錆びやすい材質だが、表面に高耐食性の防食めっき加工することで解消
③ステンレス
→耐久年数は30年以上で、強度も強い。さらに錆びにくい
→重いため施工がしづらい。他と比べて高価
素材については、場所や環境、気象条件等に応じて、耐久性、強度を判断し、価格、施工やメンテナンスのしやすさなども加味して選ぶことが重要です。
積雪対策としての壁面設置
豪雪地帯にある「雪国飯山ソーラー発電所」のモジュールは、屋根上ではなく、軒下壁面設置という方法を取りました。架台には、スワロー工業(株)製「SKソーラーウォール」を採用。屋根の軒から生じる影について慎重に計算、さらに外観の意匠性も考慮し、ZAM鋼板(高耐食めっき鋼板)にチャコール色の粉体塗装を施しました。また、モジュールを設置する角度は、雪が滑り落ちるよう、かつ太陽光も効率良く受けるために70度にしています。
➢ 詳しくは、技術系うら話「雪国飯山ソーラー発電所」の1年を総括 へ
➢ 「SKソーラーウォール」についての詳細はこちらへ。架台取り付けの様子も動画で見られます!
架台を工夫することで、太陽光発電システムのユニークなスタイルも生まれています。
例えば、現在注目されている「ソーラーシェアリング」も、そのひとつです。これは、農地に支柱を立て、太陽電池モジュールを屋根のように設置する方法。モジュールの間隔をあけたり角度をつけたりすることで、その下に広がる田畑への日射量を調整でき、太陽光発電と営農とが共存できるサスティナブルなしくみといえます。また駐車場の屋根としてモジュールを設置する「ソーラーカーポート」にも、多くの関心が集まっている様子。架台の自由度を活かした太陽光発電システムの可能性は、さらに高まってきています。
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