Text & Photo: Lisa Obinata Title Photo: Takanori Ota
しばらくぶりの更新です。
太陽光生活を始めて5回目の冬。今回は早い時期から雪に恵まれた2024/2025冬のレポートとともに、5年を迎えた気持ちをひとつの節目としてまとめようと思います。
ポカポカ陽気が続いた11月。「12月から一気に寒くなる」なんて予報は出ていたけれども、ここ2年、少雪が続いたり、夏も異常に暑かったりで、あまり期待もせずに過ごしていました。
とは言え、いつ降ってもいいように、冬支度はいつもの通り。雪囲いに薪運び、タイヤ交換、畑の片付けなどなどやること満載です。
2023年11月に増設したソーラーシェアリングは、昨年はすぐに畑を始めることはせずに、設置のために掘削した土を元に戻し、雑草をそのまま生やし、土壌再生のために一年間寝かせることに。雪が降る前に雑草を刈り、集めておいた落ち葉とともに敷き詰め、冬の間も土壌がやわらかく保たれるよう、お布団のように土にかぶせてみました。
完全自己流なうえ、適当なので、果たしてこれで自然農に適した土づくりに効果があるかどうか?? 全くわかりませんが、雪解けを楽しみに待ってみることとします。
そんな作業をした翌日からまとまった降雪!
12月7日のことです。最近だと一度降っても、また解けて本格的な雪世界に突入するのは12月下旬ということが常でしたが、今年は様子が違います。
その後も連日雪が続き、解けることなく根雪となり、あっという間に真冬の光景となりました。毎年のように「スキー場オープンに雪は間に合うのか」とヤキモキすることもなく、ホームゲレンデ戸狩温泉スキー場も12月21日(予定日より1日前倒し!)に全面オープンとなりました。
今シーズンは、長野県北部6カ所のスキー場で使えるシーズン券を思い切って購入したので、戸狩温泉がオープンする前もあっちこっちで滑り込んでおりました。12月は一般のスキーヤー&スノーボーダーや外国人ツーリストも少ない時期なので、素晴らしいコンディション×空いているゲレンデという贅沢な組み合わせを存分に満喫!
シーズン初めから雪が多くてテンションが上がる一方、除雪作業も早々から始まりました。昨年と一昨年は、雪が少なくて数えるくらいしかやらなかった除雪作業。3年ぶりの連日の雪かきは、なかなか身体に堪えます。12月21日時点で、早くも南西面2枚のモジュールに積雪(屋根雪を含む)が差しかかり、今シーズン1回目のモジュール掘り出し作業。ちなみに昨シーズンは、3月7日が最初で最後の掘り出し作業日でした!
12月25日、3回目の掘り出し作業。
12月29日、4回目の掘り出し作業。
12月30日。連日の除雪作業にソーラーくんも応援に来てくれました。年末年始は雪の降り方も少し落ち着いて、気温が上がる日もあり、12月上旬から続いた大きなセットはひと段落。とはいえ、南西面2枚のモジュールはもはや掘り出せるレベルではなくなり、雪が落ち着いたらまた掘り出そうとしばし眠ってもらいます・・。
1月10日。雪がベランダまで流れ込む。この状態は久しぶりです。しかもまだ1月上旬! 雪の量や除雪&スキーによる身体の仕上がり具合的には2月半ばくらいの感覚です。
1月11日。外から見るとこんな状態です。南西面2枚のモジュールは遥か雪の下・・。リビングからの景色も雪の壁のみとなってしまうので、スキーを履いて南側へ足を踏み入れ、ママダンプとスコップでこの山の標高を少しずつ下げていきます。
ソーラーシェアリングの方はこの通り。支柱が高さ3mあるので埋まらずに、しっかり発電しています!
こんなお天気の日は、雪の反射も伴って発電量もかなり高いのです。ソーラーシェアリングを増設してから冬場の電力も完全自給できるようになりました!
2階のモジュールに迫る勢いの雪の塊を少しずつ切り崩し、南西面のモジュールが顔を出しました。しかしこのラインより下は、一度降った雨の影響でカチコチに固まり、太刀打ちできず!
雪に埋もれている間も電流の熱が通っているので、モジュール表面が凍るということはありません。しかし、手で少しでも出そうと雪をかき分けてみると、下部が完全に氷の塊に挟まれてしまってビクともせず・・。圧縮された雪の重みというのは非常に大きなもので、これだけの強い負荷がかかればモジュールも壊れてしまうかもしれない、と今回初めて心配になりました。しかしこれ以上は手の施しようがなく断念。
1月13日。またまた大寒波がやって来ました。隣の葡萄畑の支柱もスッポリ埋まりましたが、ソーラーシェアリングはギリギリ頭(モジュール)を出しています。ただし、強い雪が降っている間はモジュールに雪が張り付いて発電はしません。シェアリングは角度60度、壁掛けは70度と若干、傾斜が違うため、付着した雪は壁掛けの方が先に落ちていきます。(発電量は角度60度の方が優勢)。
同日。雪が止んで、お日さまが顔を出すと、モジュールに付着した雪もみるみる流れ落ちていきます。
1月19日。この週はとにかくよく降りました。7回目でしょうか、晴天の日に本格的な除雪作業を決行。モジュール付近は凍っているので、かなり広範囲に外側から少しずつスペースを作り、周囲の雪を減らしながら攻めていく作戦です。
日が暮れる頃、やっとモジュール救出! 損傷も歪みも無し! 長らく雪の中で重かったね〜、寒かったね〜、放置してごめんねー、と思わず声をかけてしまいました(笑) この2枚が無ければ、除雪の苦労もなく、もっと楽できますが、我が家の電力を作るのにひと役買っている2枚のモジュールを救い出すことが、太陽光で生活している実感でもあり、嫌いな作業とも思えないんです。 この後は1週間も雪の降らない日が続き、毎日お日さまが顔を出していたので、2枚のモジュールもしっかり働いてくれたことでしょう。
雪に恵まれた5回目の冬。雪不足で嘆くよりも除雪に嘆く方が、雪国本来の姿でホッとします。とは言え、雪の降り方は極端だなと感じます。雨に近い湿った雪が多かったり、日差しが出たと思ったら強烈で急激に雪が解けたり、1月なのに3月並みの気温が続いたり。
社会情勢や気候変動の影響で、電気代や食糧の高騰。ますます食糧もエネルギーも自給する価値が高まってきているように思います。5年前、雪国への移住とともに太陽光生活をスタートするご縁をいただいたこと、まだまだごく一部だけど自家製野菜を生活に取り入れていること、自分たちの選択は間違っていなかったなぁと実感します。
地方に暮らしている分、車を使う頻度は都市生活より格段に高くなり、飛行機だって利用するし、スーパーで買い物もするし、リアルな「自給自足」生活とは程遠いけれども、電力の100%自給が実現できていることは大きな変化。豪雪地帯でもできるんだ!と、参考にしてくださる方が多いのも嬉しいことです。
今年の大きな目標はソーラーシェアリングの下での野菜作り。雪解けまで、残りのスノーシーズンを楽しみながら、畑の準備もしていこうと思います!
尾日向梨沙
1980年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、13年間、スキー専門誌『Ski』『POWDER SKI』(実業之日本社)などの編集を担当。2013年より同雑誌の編集長を務める。2015年、フリーランスとなりスノーカルチャー誌『Stuben Magazine』を写真家・渡辺洋一と共に創刊。2018年より藤沢市鵠沼の自宅を舞台に歴史的建造物と周辺の緑の保存活動を開始。2020年に、湘南から長野県飯山市に移住し、パートナーのケンさんと共にハーフビルドでマイホームを建築。雪国でスキーを取り込んだライフスタイルを実践しつつ、同時に畑での野菜作りを行うなど、自然に寄り添った暮らしを目指す。2020年秋からは、太陽光発電&蓄電システムを取り入れ、できる限り電気を自給自足するこころみもスタート。長年スノースポーツに携わる中で実感してきた地球温暖化について向き合い、ケンさんと愛猫の空(ソーラー) くんと力を合わせ、自分なりのソリューションを試行錯誤中。Vol.23 太陽光生活、5回目の冬を迎えて
Vol.3 積雪4mにも対応する突破口を見つけて、ついに太陽光発電システムの設置へ
Vol.4 太陽光100%という夢の暮らしがついにスタート!