環境保全と生活共生にチャレンジするメガソーラー発電所

太陽光生活研究所の本拠地「赤穂エナジーパーク」についてご紹介しましょう。

「赤穂エナジーパーク」は、2016年1月に開設された環境共生型のメガソーラー発電所です。中国山地の南東の裾野の、森林資源が伐採され荒れ地となった山肌を活用して作られました。開発に当たっては、地元自治会の意向を受け、山を削るなどの大規模な造成は行わず、原風景が維持できるよう植林、植栽を施した上で、太陽電池モジュールを設置。環境の維持と地元コミュニティとの共生に取り組みながら稼働を続けています。

この試みは、1つのチャレンジでした。というのも、下草を植栽し育て、その上に、太陽電池モジュールを設置したため、歳月とともに成長した草木が太陽電池に影を落とすという問題がでてくるのです。しかし、「赤穂エナジーパーク」では、除草剤は使用せず、17,000枚以上のモジュールすべての下草が残るように丁寧に草刈りを行うという、手間のかかる方法をとることにしました。太陽光発電を見守りつつ、同時に山の環境を守るという使命の元に導き出された取り組みです。

また、生活共生という観点から重要視されていたのが、「赤穂エナジーパーク」の南側に位置する農業用水池「馬路池」の保全です。これについては、大型台風の直撃を想定し、赤穂エナジーパークから土砂が流出しないように排水路を整備し、新たに2か所の調整池を設けました。こうした上で「馬路池」に流れ込む水の水質を定期的に検査し、環境基準内であることを確認しています。

原風景を維持し、環境共生にも配慮して開発された「赤穂エナジーパーク」では、日中、周囲の山影や、原生林、成長した植林などにより、発電所全体に日がさすことは殆どありません。この難点を克服するため、分散型・マルチストリングパワーコンディショナ185台が、4.6MWの太陽電池を370のストリング(セクター)に分解し、それぞれを個々に発電運転させることによって細かく制御しています。こうすることで、部分的な影による影響を最小限に抑え、発電量を維持した電力供給を実現しています。

赤穂エナジーパーク一帯。荒れ地だった山に森がよみがえり、手前の「馬路池」の水質も改善

太陽光生活研究所

広大な「赤穂エナジーパーク」内には、管理棟として、一軒の家屋が建っています。内部には、キッチンやリビングルーム、寝室や浴室など、一般家庭と同じような居室がレイアウトされており、実際にここで生活しながら発電所管理や各種テストなどの業務に当たるスタッフもいます。

ここが、「太陽光生活研究所」の本部です。様々な太陽光発電ソリューションを試す環境の元、人々が集まり、勉強会を開いたり、生活を通じて21世紀のエネルギーについて実験、思考を行ったりする場としても提供されています。

太陽光生活研究所とは?

総合的に環境に配慮した建築物を評価するシステム「LEED」のGOLD認証を受けた建物
キッチンなども整い、生活しながら太陽光発電を体験できる

<発電所概要>
名称:デルタ電子 赤穂エナジーパーク
事業実施場所:兵庫県赤穂市
事業者:デルタ電子株式会社
総敷地面積:約96,000㎡
発電出力:4,000kW
設備規模:太陽電池モジュール 4,572.84kW (265Wp/枚x17,256枚)
パワーコンディショナ:4,000kW(20kWx175台、50kWx10台)
想定年間発電量: 約4,900,000kWh (一般家庭約1,100世帯分の年間消費電力量に相当)
開発にあたり植林した木の本数:約2000本
もっとも成長した樹木:ヤマモモ(5年間で高さ約8m)

<赤穂エナジーパークで実施されている開発、テスト項目>
分散型パワーコンディショナ実地試験
ハイブリッド蓄電システム 住環境試験
マイデルタソーラークラウドモニタリングシステム
・メガソーラー
・住宅、スモールコマーシャル
マイデルタ・P to Pコントロール/モニタリングシステム
HEMS(Home Energy Management System)開発。DELTA盛岡チームとの連携。
太陽電池/バッテリー・ストリングバランスシステム開発
Sub-1G通信によるメガソーラー管理、コントロール
25kW/6kW EVCオンサイトテスト
斜面緑地化・PV アレイ下部 緑地化
エネルギーソリューション・ドローンモニタリング

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