Text & Photo: Lisa Obinata Photo: Takanori Ota
2020年12月14日から4日間、本当にびっくりするくらい毎日、雪、雪、雪! 昨シーズンは記録的な少雪だったので参考にならないけれども、例年、12月の降り始めの時期というのは、少しずつ降っては止んで、を繰り返して徐々に積雪を重ねていくもの。ところが今シーズンは、降り始めから1週間でいきなりハイシーズンのような景色になってしまいました。
太陽光モジュールは、というと雪がびっしり付着して真っ白。最初の2日間くらいは「わー!雪落とさなきゃ!」と除雪してみたものの、手が届かない部分もあるし、こんなこと毎日やってられないな、とすぐに断念。
雪に埋もれたら除雪しましょうと言っていた南西面下部2枚のモジュールは、早くも下から雪が迫ってきています。モジュールには車のフロントガラスと同じような強化ガラスが使用されているので、雪が付着しても基本的には問題ないそうです。ただし、モジュールが雪に埋もれ凍って固まった状態はあまり良くないそうで、その場合は、南西面だけの電源を落とすことができるシステムも組んでいただきました。
発電量は初めて見るゼロの数値。周辺の集落では大雪による倒木が相次ぎ停電が起きたり、12月16日朝までの積雪70cm(長野県内1位)という予報も出て、早速南西面の電源スイッチをオフにしてみました。こうなると自家発電できないので、蓄電池からの電気を使ったり、買電するということになります。
屋根に積もった雪は全て南側に落雪するような片流れ屋根になっているので、一日に何度かものすごい音を立てながら雪が大量に落ちてきます。モジュールには当たらない設計になっているので安心ですが、降雪プラス屋根雪で、あっという間に積雪2mを超える勢い!
南西面のパネルの様子を外から見ようと思いましたが、腰まで埋まる雪でとても歩けず。高嶋さんに状況を連絡したところ、停電の可能性があるのなら、「充電優先モード」に切り替えてください、というアドバイス。普段は「自家消費優先モード」にしていますが、「充電優先モード」にすると蓄電が100%になり、もしも停電になったとしても、数日間は蓄電池からの電気が使えるという頼もしいシステムなのです。
幸い停電することもなく、大雪のピークを過ぎました。雪が止んだり、陽が差すタイミングには、モジュールに付着した雪も溶けて落ちるようになってきました。電源を落としていた南西面も通常運転に戻すと、晴れていなくても電流が流れることで、雪を少しずつ溶かしていきます。(どうやらこのくらいなら電源を落とさなくても良かったよう)
晴れ間が出た日、スキーの裏に山登り用のシール(滑り止め)をつけて、散策がてら南面をチェック。長靴はもちろん、スノーシューを履いていてもズボズボと沈んで歩行困難な深雪を、スキーはいとも簡単に進んでいきます。今までは滑走を楽しむためだけに使っていたスキーが、生活の道具となった気がしました。
地面から1階バルコニーまでの高さは2.4m、その上にモジュールを設置したので、南西面の下2枚は、積雪がマックスの1~2月に除雪する程度かなと思っていましたが、まさかこんなに早くにモジュールに近づいてしまうとは・・・。恐るべし豪雪地、飯山です。
スキーを履いて踏みならし足場を作った後に、モジュール前の除雪作業。大変と言えば大変ですが、雪好きな私たちにとっては、日頃のエクササイズと思い楽しみながら作業を進めています。それに何よりも下2枚のモジュールだって、我が家の大切な電気を作ってくれていると思うと、埋めておくわけにはいきません!
12月20日、ついに南西面の下2枚のモジュールが埋まる高さまで積雪が到達しました。除雪作業にも慣れてきて、屋根雪が落ちる心配がないタイミングに、モジュール前の除雪というのが日課のようになってきました。モジュールと雪面が繋がらないように雪かきしておくだけで、モジュール表面の融雪も早いような気がします。
その後、1月にかけて大寒波は何度か続きましたが、良い発見もたくさんありました。
(1)モジュールに雪が付着してもけっこうすぐ溶ける
(2)雪の日でも降り方によっては発電する
(3)天気のいい日は夏よりも発電する
冬の晴れた日の発電量と電気代については、また次回詳しくご紹介したいと思います!
尾日向梨沙
1980年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、13年間、スキー専門誌『Ski』『POWDER SKI』(実業之日本社)などの編集を担当。2013年より同雑誌の編集長を務める。2015年、フリーランスとなりスノーカルチャー誌『Stuben Magazine』を写真家・渡辺洋一と共に創刊。2018年より藤沢市鵠沼の自宅を舞台に歴史的建造物と周辺の緑の保存活動を開始。2020年に、湘南から長野県飯山市に移住し、パートナーのケンさんと共にハーフビルドでマイホームを建築。雪国でスキーを取り込んだライフスタイルを実践しつつ、同時に畑での野菜作りを行うなど、自然に寄り添った暮らしを目指す。2020年秋からは、太陽光発電&蓄電システムを取り入れ、できる限り電気を自給自足するこころみもスタート。長年スノースポーツに携わる中で実感してきた地球温暖化について向き合い、ケンさんと愛猫の空(ソーラー) くんと力を合わせ、自分なりのソリューションを試行錯誤中。Vol.21 4年目突入の太陽光生活と、深刻な雪不足に悩まされる2024年幕開け
Vol.11 野沢温泉でマウンテンバイク。秋の里山を駆け抜けて
Vol.3 積雪4mにも対応する突破口を見つけて、ついに太陽光発電システムの設置へ