Text & Photo: Lisa Obinata Photo: Takanori Ota
長らくご無沙汰してしまいました。
一年で一番陽が長い季節を迎え、緑もぐんぐんと勢いを増す今日この頃ではありますが、今回は、記録的豪雪だった2021/2022シーズンを振り返ってみようと思います。
とにかく、びっくりするくらいの大雪の年で、これが移住初年度でなく、2年目で良かったなぁと、何度口にしたことでしょうか。
Vol.14で、シーズン初め〜1月の大雪について触れましたが、それはまだまだかわいいものでした。
1月下旬、前年に比べ、この時点でも雪の量はかなり多いのですが、まだ南西面・下2枚のモジュールの掘り起こし作業は頑張って行っていました。ただ昨年は、室内から景色が見えなくなるのを避けるために、1階部分から続くバルコニーの手すりのラインまでは積もった雪を削るようにしていましたが、今年は2枚のモジュール掘り起こしで手一杯。モジュールの部分以外はすでに手すりの上まで積雪があります。
大雪=大好きなパウダースノーを滑れるチャンスが多いということ!
除雪に追われながらも、朝一のスキーだけは欠かせません。
晴天が何日か続き、ホームゲレンデにはノートラック(ひとりも滑った跡のない新雪そのままの斜面)も無くなったある日、近所の仲間たちと、ちょこっと山を登って冒険に出かけました。北斜面を狙うと、まだまだ良い雪が残されていて、自分たちだけのトラックを刻むことができました。
太陽光業界では、日射の向きが重要視されますが、これはスキーでも同じ。良い雪を引き当てるには、天候の変化、斜面の向き、風向き、太陽がどのくらい当たっているか、といった情報を集めて、狙いを定めます。毎日同じスキー場に通っていても、滑ってみないとわからない、ということもあるくらい、自然を読むことは難しく、だからこそ、最高のコンディションを引き当てると、嬉しさもひとしおなのです。
2月初旬。やってきました、最強寒波。一晩で50cmとか、70cmとか!
朝、除雪のために外に出るのも、玄関前まで吹き込んだ雪を払って、腰まで埋れながらやっと道路に出られるような状態です(写真左は、玄関側から自宅前の道路を見た様子。写真右は、逆に道路側から玄関を見た様子)。周辺のスキー場では、雪が降りすぎて、リフトが埋もれてしまったためスキー場運休という異例のクローズも相次ぐほど。
雪好きな愛猫ソーラーくんも、さすがに外に出られずに大人しくしていました。雪が落ち着いたタイミングに、遊びに来てくれた友人たちに手伝ってもらい、南西面モジュール側の除雪作業。バルコニーにも屋根雪が雪崩れ込んできて、なんだか災害現場のようです。
南西面、下2枚のモジュールはとっくに雪に埋もれ、掘り起こせるレベルではなくなったため、ここでもう諦めることとしました。。
災害級の豪雪に翻弄されながらも、晴れ間が出れば、スキー場コンディションは素晴らしく。この楽しみがあるから、除雪もなんとか頑張れるような気がします。
また、今年は低温が続いたため、薪ストーブに使う薪も、アラジンストーブの灯油も、消費の早いこと! 補助的に使っていた電気ヒーターもフル稼働で、さらに電気代も高騰していたので、晴天時に少しでも発電、蓄電できることのありがたみをしみじみと感じました。
2月中旬、またまたすごい奴がやってきました。
もうパウダーはいいよ、除雪で腰が痛い、早く春になってほしい。そんな声があちこちから聞こえてくる頃、追い討ちをかけるような降りっぷり。
屋根雪が落ち続け、南西面に積もった雪は、行き場を無くし1階のバルコニーにどんどん流れ込んできます。リビングから望む雪の壁は、なんだか新しい山脈のよう!
窓や網戸の破損の恐れも出てきて、バルコニーの雪をひたすら外へかき出すのですが、周囲も雪に囲まれて、雪を放る場所もなくなってきました。降りたての軽い雪ならまだしも、屋根から落ちてきた雪の塊は重く、雪かきのタブーと言われるスコップを上半身より上に持ち上げて投げ捨てるしかない状況、なかなか身体に応えます!
一瞬の晴れ間が出た隙に2階のバルコニーから。1階はもう雪の壁しかないのですが本来は、この景色が1階からも見えます。久しぶりに太陽をみると、拝むような気持ちになるのですね。
もちろん、これだけ降ればモジュールも真っ白。発電はほとんど期待できません。道路脇の雪も3mを超えて、これまで見たことのない光景となっていました。
数日間、降り続いた雪がようやく止み、モジュールのチェック。東南面はモジュールに付着していた雪は溶け、しっかりと発電しています。雪の壁は高いけれども、真横から見ると、モジュールを遮っているものはなく、モジュール下に迫りくる雪の高さも全く問題ないレベルです。
さらに数日後の快晴の日、屋根雪の影響を受ける南西面は、トップ画像の通り。下2枚は完全埋没し、上部のモジュール列に触れられる勢い! 4m以上の積雪ということになります。昔は冬は2階から出入りしていた、というのは豪雪地帯でよく聞く話ですが、まさにこういう状態のことを言うのでしょう。雪のない季節は見上げてもよく見えないモジュールが真横にあるというのは不思議な感覚です。
続きは、Vol.15 記録的豪雪のシーズンを振り返って【雪解け編 2022年3月~5月】へ。
尾日向梨沙
1980年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、13年間、スキー専門誌『Ski』『POWDER SKI』(実業之日本社)などの編集を担当。2013年より同雑誌の編集長を務める。2015年、フリーランスとなりスノーカルチャー誌『Stuben Magazine』を写真家・渡辺洋一と共に創刊。2018年より藤沢市鵠沼の自宅を舞台に歴史的建造物と周辺の緑の保存活動を開始。2020年に、湘南から長野県飯山市に移住し、パートナーのケンさんと共にハーフビルドでマイホームを建築。雪国でスキーを取り込んだライフスタイルを実践しつつ、同時に畑での野菜作りを行うなど、自然に寄り添った暮らしを目指す。2020年秋からは、太陽光発電&蓄電システムを取り入れ、できる限り電気を自給自足するこころみもスタート。長年スノースポーツに携わる中で実感してきた地球温暖化について向き合い、ケンさんと愛猫の空(ソーラー) くんと力を合わせ、自分なりのソリューションを試行錯誤中。Vol.1 海辺の町から山に移住。自給自足に近い暮らしを目指して
Vol.21 4年目突入の太陽光生活と、深刻な雪不足に悩まされる2024年幕開け
Vol.2 豪雪地に太陽光発電という難題をいかにクリアできるか?