タイトル写真:西面への壁面設置の後、南面の急斜度屋根設置、さらに北面での耐雪実験など、様々なプロジェクトを実施中の「雪国野沢温泉村コンパスハウスソーラー発電所」(Photo: Takanori Ota)
2024年8月7日。「雪国野沢温泉村コンパスハウスソーラー発電所」に、阿部守一長野県知事が訪問されました。目的は雪国太陽光発に関する視察でした。
野沢温泉村の「コンパスハウス」を訪れた阿部知事は、まず次のように訪問目的を説明されました。
「本日は雪国太陽光発電プロジェクトについて教えていただきたいと思います。雪国である北信エリアで太陽光発電に向き合っている皆さんの思い、考え方、課題を伺い、共有し、一緒になって取り組んでゆきたい」。
現場では、さっそく「雪国野沢温泉村コンパスハウスソーラー発電所」のユニークなモジュール設置状況などについて、オーナーの上野雄大さんより、以下の説明を受けました。
・雪国太陽光発電プロジェクトは、2020年に「雪国飯山ソーラー発電所」の開発からスタート。軒下壁面設置により、降雪問題をクリアし、冬場にも順調に発電を記録している。
・2022年に第2弾となる「雪国野沢温泉村コンパスハウスソーラー発電所」もスタート。
・雪面や地面からの太陽光の反射も受ける「ダブルサン効果」により期待以上の発電量が得られている
・その後、主力太陽電池メーカー3社、Qセルズ、シャープ、XSOLが集い、この場で 5つの新規雪国太陽光の開発、実証試験が行われている。
また、同じく北信の木島平村で、2023年に壁面設置とソーラーシェアリングタイプの2つの方法で太陽光発電システムを導入した「パン工房〇(まる)」のオーナー宮田伸也さんも視察に参加。
「一般的なパン屋の電力コストは10万円/月が相場と聞いていましたが、うちは太陽光発電のおかげで3万円程に収まっています。またEVへの充電も太陽光発電で賄えています」と、実質的なメリットなどを紹介されました。
これらの説明を熱心に聞いていた阿部知事からは、
「長野県は農業や観光が大きな産業であり、自然に敏感な地域です。そこで全国に先駆け気候非常事態宣言を発出、突出した高い脱炭素目標を設けました(2030年温暖化ガス62.3%削減 2010年度比)。これぐらい高い目標を設定しないと私たちの財産が守れないという思いがあります。これに向けて、実質的なアクションが必要です。その意味でも、県として雪国太陽光推進をコミットしていきたい」
との評価をいただきました。また、今後に向け、
「まず、知事会の環境エネルギー会議でこの雪国太陽光発電のこころみを紹介したいと思います。さらには世界に向けて情報発信してほしい」
と続けられました。
太陽光生活研究所では、多くのメーカー、地域事業者、自治体などの協力をいただき、雪国太陽光発電の発展を目指し、様々な実証実験を行ってきました。「太陽光発電についての理解をより深め、そしてひとりでも多くの方の暮らしにそれを取り入れていただく」というゴールに向け、今後も正しく、そして意味のある情報・提案を発信していきたいと思います。