Vol.5 雪国ソーラーシェアリング ——屋根でも壁でもない、新たなソリューション

Photo: Takanori Ota

太陽光生活研究所では、これまで困難とされてきた雪国での太陽光発電を実現するため、様々なアイデアを検討・実施してきました。今回は、「太陽電池モジュールを、屋根にも壁面にも設置できない」「モジュールをさらに増やしたい」という方に向けて、ソーラーシェアリング・タイプによるシステム導入の提案です。

自分の土地や畑の上にモジュールを設置する、シンプルな太陽光発電のカタチ

ソーラーシェアリングとは、農地の上に太陽光発電システムを設置して、農業を行いながら発電も行う、つまり、農作物と太陽電池モジュールとが“太陽光を分け合って使う”という近年注目のスタイルです。

本来は、農地の活用を目的とした取り組みですが、これを、地目が宅地となっている自分の土地内でも活用しては、というのが、今回の提案です。野菜や花などを育てている家庭菜園、あるいは芝生や砂利があるだけの庭でもOK。そこに支柱を建てて、モジュールを設置する、といたってシンプル。宅地内に設置する場合は、農地利用にかかわる面倒な申請や手続きも不要なので、比較的手軽に導入ができます。

➣ ソーラーシェアリングについて、詳しくはこちら

自宅の空いたスペースを有効活用。モジュールの下はほどよい日陰となるので、野菜や花を育てたり、テーブルや椅子を置いてアウトドアテラスにしたりするのもおすすめです

雪国ソーラーシェアリングには「高さ」と「角度」が必要

豪雪地帯でソーラーシェアリングを導入するには、いくつかのポイントがあります。日当たりがよく、下記のような条件を満たせるスペースがあれば、豪雪地帯でもソーラーシェアリングは可能になります。

(1)モジュールは、地面からは3m以上の高さに設置
これはもちろん、大雪が降ってもモジュールが埋もれないために必要です。高さを実現するための、強度の高い専用架台が必要となります。

(2)モジュールの傾斜角は60度以上に
一般的なソーラーシェアリングのモジュールは10~20度の傾斜を付けて設置されます。しかし、豪雪地帯でこの斜度では、冬には降雪により表面が覆われてしまい、最悪壊れてしまうことも。また、緩斜度のモジュールの場合、積もった雪が一気に落下して下部に雪の山ができやすくなります。すると、それがやがてモジュール上の雪と連結し膨大な荷重がかかり、これもまたモジュールや架台の破損の原因となります。解決策は、モジュールを60度以上の傾斜角で設置すること。この角度なら、降った雪は自然に滑雪し、またモジュール周辺にまんべんなく落ちていくことで、軒下に落雪の山もできづらくなります。

(3)モジュールの列は間隔を開けて配置
何列かでモジュールを配置する場合は、角度を付けたモジュールどうしが影を作ってしまう事がないよう、ある程度の間隔をあけて設置することも大切です。

高さ3mの位置に角度を付けて設置された雪国ソーラーシェアリング(雪国飯山ソーラー発電所)。雪が積もりづらく、下部に雪の山ができづらい(Photo: 太陽光生活研究所)
低い位置に緩斜度で設置されたモジュールで、積もった雪で軒下に山ができ、これがつながり破損の原因に(Photo: 太陽光生活研究所)

次回は、このシステムの設置事例をご紹介します。

  • 太陽光生活研究所 所長 高嶋健

    太陽光発電システムプランナー。 2003年よりシャープ米国(Sharp Electronics Corporation)で太陽光発電事業に従事。太陽光発電システムの海外事業展開に携わる。2012 年よりカナディアン・ソーラー・ジャパン、2017年からはサンテック・パワージャパンでマーケティング部長、SCM調達本部長を兼務、2018年よりデルタ電子株式会社でマーケティング企画部長を務める。太陽光生活研究所 所長として、豪雪地帯に対応する太陽光システムの様々なアイデアを提案。雪国での太陽光活用の促進に日々邁進中!

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