Vol.7 4ヶ月のスノーシーズン。太陽光発電と雪の関係を考える

Text & Photo: Lisa Obinata Photo: Takanori Ota

飯山の雪のメインシーズンは12月中旬から3月下旬くらいまで。今シーズンは12月、1月に大雪の日が多く、かなりの降雪量だと思っていたけれども、3月に入るとほとんど雪が降らず、気温が高い日が続き、驚異的なスピードで雪が溶けていきました。

あっという間に過ぎ去った移住1年目の冬。太陽光の発電状況とともに、雪のある季節の暮らしを振り返ってみます。

毎日スキーができる環境を夢見てやってきたので、毎朝散歩やランニングをするように、スキーに出かけるのは日課。家から一番近い戸狩温泉スキー場のシーズン券を持って、リフトオープンの8時半に間に合うように、車庫前の除雪、朝食、ハンドドリップコーヒー、道具の準備、降雪量と天候チェックを済ませます。

戸狩温泉スキー場は、移住を考えるまでは訪れたこともなかったのだけれども、斜面バリエーションが豊富で、降雪時はパウダースノーを楽しめる非圧雪コースが多く、景色も抜群で、毎日滑っても飽きないほど気に入ってしまいました。コロナ禍の影響もあり、ゲレンデは人も少ない上に、コンディションは数十年に一度といっても過言ではないくらい、良い雪に恵まれたシーズンでした。

ひとりでサクッと朝一30分だけ滑ることもあるし、友達が来て1日遊ぶこともありますが、大体2時間くらい滑って、午前中のうちに帰宅。そのままウエアで南側の除雪作業をしてランチ、午後はデスクワークというのが日常のルーティーン。

この撮影の日はあまりに気持ちのいいお天気で、スキー場麓の焼きカレーの名店「ペンティクトン」に立ち寄り、昼ビールで乾杯! 翌朝に備えてスキーにワックスもかけました。

家からスキーをつけてソーラーくんと一緒に雪原を散策したり、裏山を登って滑るというのも、スペシャルプランとして冬の楽しみ。車も使わない、リフトも使わないでできる最高にエコな遊び方です!

フリーランスだからこそできることですが、天気によって1日の動きは大きく変わります。大雪が続く時は、除雪が優先になるし、新雪フリークだから滑走の優先順位も下げられない。豪雪に見舞われた年末年始はデスクに向かうような時間はほとんど取れませんでした。あまり降りすぎると買い出しにも行けないので、天気が荒れる前に町への用事は済ませ、安全のために屋根雪が落ち切ってから除雪作業というのも鉄則です。

2月半ばあたりにシーズンマックスくらいの積雪量となり、リビングから望む外の景色もだいぶ雪まみれになってきました。南西面の下2枚のモジュールを掘り起こす作業も一苦労。左下の写真のように、モジュール前に雪の壁が残っていると影になってしまい、その分発電量が落ちるのでモジュール前はできるだけ障害物がないように除雪します。

雪かきをしていると、ソーラーくんも手伝い(?)に出てきます。モジュールに付着した雪の塊が、溶けて落下してくるのをキャッチする遊びを覚えました(笑)。もし屋根にモジュールを取り付けていたら、絶対にありえないことですが、3mもの積雪のおかげで壁面モジュールとの距離感を近づけてくれました。

ここ数年は、真冬でも雨が降ることも珍しくなく、特に今年は【大雨→気温が下がり大雪】というサイクルが何度かありました。除雪をしていると、雨の後の凍った層があるのがよくわかります。スコップで雪をかくという単純作業も、サラサラの軽い雪のこともあれば、水分をずっしり含んだ重い塊のこともあり、時間帯によっても違うし、太陽の当たる位置や向きによっても、雪質は刻一刻と変化します。

南西面の下2枚のモジュールを掘り出す作業はシーズン半ばくらいからは、天気予報を見ながら、数日に一度の作業としました。2~3日間、埋もれたままの時もあったけれど特に問題はないので、快晴や気温が上がる予報がある時はそのまま放置し、自然に融雪を待つようにしました。

さて、そんな冬の発電量と電気代はいかほどだったのでしょう。

12~1月はさすがに日射のない日も多く、寒さもピークで、発電量が消費量を上回るということはありませんでした。ただそれでも晴天時はしっかりと発電し、雪が降っていてもわずかな薄日をキャッチしてくれていました。発電量ゼロという日は12~3月の間にわずか2日間しかなく、少ない発電量であっても、消費電力の多い冬の家計の手助けとなりました。

2月以降は雪も落ち着き、発電量も大幅にアップ! 3月分(2月13日~3月11日)の電気使用量を中部電力の検針票によりチェックしてみると、1ヶ月の電気使用量は【440kWh】、電気代【9023円】という請求ハガキが届きました。

これは太陽光発電による余剰電力を売電した分は含まれていません。請求と同時に、売電分として中部電力から支払われる受給電力量のお知らせが届きます。こちらを見ると、同期間に【253kWh】の電力を売電しており、【5313円】が戻ってきます。

結果、3月分の電気代は【3710円】!

総務省統計局の「世帯人員別1世帯当たり1ヶ月間の収入と支出」(2020年)の調査結果によると、2人世帯の月間平均電気代は【9515円】とのこと。時期によって差はあれど、あたり一面、雪に囲まれた低温期に、この程度の電気代で抑えられるとは、予想以上の嬉しい数字でした。

ちなみに、kWh(キロワットアワー)という電気の単位、私もまだ勉強中でピンときませんが、たとえば1500Wのエアコンを最大出力で3時間つけていると【4.5kWh】くらいの電力を消費します(目安)。我が家の場合、エアコンはないので、もっとも電力を消費しているのは、電気給湯器の「エコキュート」。特に冬場は、長時間運転となるため、電気代もかさみます。エコキュートは電気代が安い深夜にお湯を沸かすため、その分は太陽光で蓄電した電力ではなく、買電で賄っています(パワコンの設定により選択可能)。

パワーモニターで2月の発電量を改めてチェックしてみると、1日に【20kWh】以上発電している日がけっこうありました。我が家の太陽光発電システムでは、1日に20kWh発電する日は、シミュレーション段階では月に4日ほどだったのですが、実際は厳冬期の2月に11日も記録! また、2月28日には【30.1kWh】なんていう数字を叩き出し、これは一体どういうことなのか高嶋さんに伺ったら、雪の反射光や気温も影響しているよう。

なんとなく、真夏のさんさんと降り注ぐ太陽の方が光を集めやすい印象がありますが、実は太陽光発電は、温度が高くなると電圧が低下し、発電効率は落ちるのだそうです。気温が低い冬の晴天時の方が発電量が高いということもあるのです。

雪国飯山ソーラー発電所では、東南面と、南西面の2方向の壁面設置で朝から夕方まで長い時間発電すること、冬場の低温に、雪による反射も伴って、寒冷地だからこその利点を生かした発電システムとして大成功したということでしょうか! 暖かくなると、冬場と比べてエコキュートの消費電力も下がるようなので、電力自給率アップに期待です。

  • 尾日向梨沙

    1980年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、13年間、スキー専門誌『Ski』『POWDER SKI』(実業之日本社)などの編集を担当。2013年より同雑誌の編集長を務める。2015年、フリーランスとなりスノーカルチャー誌『Stuben Magazine』を写真家・渡辺洋一と共に創刊。2018年より藤沢市鵠沼の自宅を舞台に歴史的建造物と周辺の緑の保存活動を開始。2020年に、湘南から長野県飯山市に移住し、パートナーのケンさんと共にハーフビルドでマイホームを建築。雪国でスキーを取り込んだライフスタイルを実践しつつ、同時に畑での野菜作りを行うなど、自然に寄り添った暮らしを目指す。2020年秋からは、太陽光発電&蓄電システムを取り入れ、できる限り電気を自給自足するこころみもスタート。長年スノースポーツに携わる中で実感してきた地球温暖化について向き合い、ケンさんと愛猫の空(ソーラー) くんと力を合わせ、自分なりのソリューションを試行錯誤中。

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