Text & Photo: Lisa Obinata
Vol.15 記録的豪雪のシーズンを振り返って【大雪編 2022年1月~2月】からの続きです。
3月に入ると雪も落ち着き、太陽が降り注ぐ日が増えてきました。
トップ画像と上の画像は、夜間に放射冷却で一度溶けた雪がカチカチに固まり、朝、スノーシューやカンジキを履かなくてもどこまでも歩いていける「しみわたり」という現象。春の訪れを感じさせるこんな朝は、雪上散歩をしている人も多く、風情のある雪国の一コマです。
雪の心配がなくなってからは除雪もすっかりサボって、自然融雪に頼っていたところ、3月20日頃にようやく、下のモジュールがお目見え。天気のいい日も増えてきて、2枚とは言え、発電を遮るのももったいない、とこの頃にやっと掘り起こし作業を行いました。
1ヶ月半くらい雪に埋れていたことになりますが、モジュールの破損などはなく、また元気に全モジュールフル稼働です! とはいえ、埋もれている間はそれなりの雪圧がかかるため、セルダメージが発生する可能性があるそうです。来シーズンは、1月上旬までの降雪量によっては、下2枚のモジュールが埋もれないように、まとまった除雪作業を行いたいと思います。
3月末、ホームゲレンデの戸狩温泉スキー場も営業終了し、あんなにあった雪も猛烈な勢いで溶けていきます。しばらく雪が多すぎて、よく見えなかったリビングからの西側の景色も望めるようになってきました。
融雪のスピードが早いとはいえ、何十年に一度という記録的な積雪量だったため、4月になっても周囲の畑はまだまだ雪の下。この季節の雪は固いので、ソーラーくんとの散歩も再開しました。冬場は通行止めの裏の農道も、ため池も、夏は薮の濃い場所も、どこでも雪上散歩ができるのは、この季節だけ。ソーラーくんも楽しそうです。
こんな青空が広がる日も増え、寒暖の差や、雪の反射といった発電しやすい条件が重なり、発電量はぐんぐん伸びます。ちなみに我が家のシステムでは、1日に20kWh以上発電すればかなり発電量が高い方なのですが、4月上旬には30kWhを突破した日が2回もあり、太陽光システムを導入して以来、新記録を打ち出しました!
真冬は1日に50cmくらい積もる日もありましたが、この時期は反対に、1日に50cmくらい雪解けが進むこともあって、あちこちに小さな滝や小川が出現! 秋に取り損ねたカブが道路に流れてきたり、桜と雪のコラボレーションを楽しめたりと、豪雪の年にしか起こり得ない珍現象もいろいろと楽しめた春でした。
戸狩温泉スキー場が3月に営業終了した後は、お向かいの野沢温泉スキー場へ通います。野沢温泉の山頂エリアは標高1500m前後あり、この冬の積雪は4m超え! ゴールデンウィーク最終日まで、長い期間良いコンディションが保たれていました。そして、新緑と残雪のコラボレーションがお見事! 5月は、日に日に芽吹くフレッシュな緑に癒される日々でした。
私たちのスキーシーズンは、今年も立山にて、5月下旬に滑り納めとなりました。家の周りにあんなにあった雪も5月にはすっかりなくなり、山の養分をたっぷり吸い込んだ畑のシーズンにバトンタッチ。
大雪のシーズン、滑走者にとっては嬉しい毎日でしたが、雪の重みで倒壊した建物や、多量の雪解け水で、土が土砂崩れのように流れ出てしまっている畑も見かけました。少雪だったり、ドカ雪だったりと、ここ数年の極端な降り方も気象変動の現れなのでしょう。自然の変化を見つめ、自分には何ができるのか。約半年間、さまざまな表情を見せてくれる雪と接し、思考を巡らせています。
尾日向梨沙
1980年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、13年間、スキー専門誌『Ski』『POWDER SKI』(実業之日本社)などの編集を担当。2013年より同雑誌の編集長を務める。2015年、フリーランスとなりスノーカルチャー誌『Stuben Magazine』を写真家・渡辺洋一と共に創刊。2018年より藤沢市鵠沼の自宅を舞台に歴史的建造物と周辺の緑の保存活動を開始。2020年に、湘南から長野県飯山市に移住し、パートナーのケンさんと共にハーフビルドでマイホームを建築。雪国でスキーを取り込んだライフスタイルを実践しつつ、同時に畑での野菜作りを行うなど、自然に寄り添った暮らしを目指す。2020年秋からは、太陽光発電&蓄電システムを取り入れ、できる限り電気を自給自足するこころみもスタート。長年スノースポーツに携わる中で実感してきた地球温暖化について向き合い、ケンさんと愛猫の空(ソーラー) くんと力を合わせ、自分なりのソリューションを試行錯誤中。Vol.21 4年目突入の太陽光生活と、深刻な雪不足に悩まされる2024年幕開け
Vol.1 海辺の町から山に移住。自給自足に近い暮らしを目指して
Vol.13 紅葉の飯山古寺めぐりと冬仕度。雪の季節がやってくる【前編】